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ノルマ を観て

この前、オペラ ノルマ を観てきた。
あまりにも素晴らしくて、ず~っとそのことばかり思い出している。

話はシーザーのガリア戦記のころに題材を取っている。
ローマに征服された被圧民のガリアの司祭の娘の巫女の長のノルマが、ローマの植民地監督の地方長官と密かに出来てしまって2人の幼い子供がいたが、その男が心変わりして、出来ちゃっただけではなく一緒にローマに行こうと誘われた若い巫女が長のノルマに相談したために、三角関係の3人の狂乱の場が出来する。
清純な巫女である2人は恋敵を憎まず、子供と心中しようとか、子供を若い巫女に預けて自分だけ死のうとか、私が身を引きますとかあれやこれや思い悩んでいるところに、その地方長官が若い巫女を連れて逃げようと神殿に乗り込んで来て神殿を穢した罪で引き立てられてくる。
ノルマは、内通者を聞き出すために取り調べるからと2人だけにして、あの女と別れるなら命を助けてやると交渉したところ、嫌だ。そんなことなら、殺せ!との返事についにキレて、内通者が分かった、火刑台を用意しろと叫ぶ。
集まった民衆に向かって、内通者は私だ!私とこの男を火あぶりにしろ!と叫ぶ。男は、その気高さに雷に撃たれたように一気に愛がよみがえって、2人とも勇躍と火刑台に向かって歩むというお話し。

まあ、何とも良く出来ていて、もともとオペラと歌舞伎は、破局の狂乱の場が最大の見せ場だから、歌手の声も素晴らしかったし!うっとりとして、ゴージャスな気分に浸った。

しかし、これだけなら、まあ、オペラは名作しかやらないし、ほとんどが狂乱の場の見せ場を用意しているし、良かったね~と言うぐらいなんだけど、演出によって作品の主題が変わってしまった感があったので考えさせられた。
歌舞伎は伝統を重視するので、書き割も衣装も変わらないが、オペラは相当奇をてらった演出をする傾向がある。
特に、ワーグナーなんかは、エバンゲリオンでしょう!というような未来的な衣装が標準になった感がある。
それが、一つの楽しみなわけだけど、それによって主題が変わるわけではない。

このノルマは、登場人物が現代人の普通の服を来て出てくる。そして、宗教的な場面に白いガウンを纏うことによって古代の話に不自然さを無くして引き込むという演出だった。
最初は、あ、その手か?よくある手だね。と思ったが、話は紀元前の話で、ローマの神が勝つか?今は抑圧されてはいるが我らの神が勝つか?異教徒は皆殺しにしてやる!植民地から立ち上がろう!という設定の中での痴情のもつれの話だった。
ほとんど聖書のイエスの受難の物語と設定が重なっている。
多分、そんな設定にしたのは、台本作者がロミオとジュリエットのような引き裂かれたドラマチックな舞台で、思う存分狂乱の場を歌わせたかったという都合であって、思想信条とかとは全く関係なかったはずだ。

ところが、今の中東の混乱とか、ヨーロッパに押し寄せる難民とかの現在の状況が、衣装を現代にしただけで自然に想起されて、どちらの神が勝つのか?異教徒は奴隷か皆殺し!というヨーロッパの思考形態に問題があるから、今現在も2000年前と変わらないのだと主張しているようだ。
ここに欧米人の病根があるんだということが主題になってしまった。
作品は、約200年前で、ナポレオン後に出来ている。
そんなことまで考えるはずがなく、当時の大戦争の記憶が引き寄せた意図せざる預言になってしまって、状況の後押しの結果、新しい演出で主題が変わるようなことが起きたのでしょう。

これは、僕の深読みではないと思う。
だから大当たりして、数ある劇場から選ばれて今回チェコの劇場が日本にもやって来たんだと思う。
やはり、興行師は何が当たるかだけをよく見て決めているだろうから、歌手や指揮者のネームバリューだけではないだろう。
おそらく、世界中を回ってがっぱり稼ぐのじゃないかな~
考えさせられたし、このようなあらゆる種類の微細な気付きの積み重ねが、次第に世界の状況を微妙に変えるのだろうと思えた。
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あれやこれや | コメント(0) | トラックバック(0) | 2016/11/09 00:00
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