一年がかりの入れ歯

この前、一年がかりの入れ歯が完成した。
一年がかりといっても、たいそうこったわけでもなく難症例でもない。
その患者さんがポツリポツリと、忘れたころにしか来院しないので1年も掛かったというわけだ。

 私ね、孫のお世話で忙しいのよ。

と言う。
たいそう陽気な患者さんで、息子の孫や嫁に行った娘の孫の世話で飛びまわっているようだ。
立派なおばあちゃんだ。おばあちゃんの鑑だ。

総入れ歯の場合は、どれほど間を置いても最後に咬座印象をして仕上げれば問題ないので、いいよいいよ暇が出来たらおいでと言っていたら1年も掛かった。
元々旧義歯もさほど問題なかったのだが、リベースして汚くなったので作り替えたいということだったので、無調整でピッタリだった。
ただ、下あごの骨がたいそう減っているので、分厚いブロックのような総入れ歯だが。

渡部

入れたっきり来なかったが一か月後に来院して、何でもなくガチッとよく咬めるんだけど、おしゃべりしているうちに急に下の入れ歯が飛び出してくることがあるのよ。と言う。
それに、なんとなく右の犬歯の辺りが高いような気がする。とも言う。

うちの技工所はエンデュラの人工歯を使うが、エンデュラは右下の4の形態が少し変で、そこが干渉する傾向がある。
今度もそうだった。
それに加えて、前下がりのスウィングの患者さんだったので、右上の4が左後ろへのスウィングで強く干渉したわけだ。
それに、下あごの骨が乏しく船底のようになっている顎堤だった。
それらが重なったのが、おしゃべりしているうちに不意に入れ歯が飛び出す原因だった。

触診してみると、入れたばかりの時にはこっていなかった左肩が少しこっている。
やはり、スウィング干渉が残っていると、比較的早期にほんの少しだが肩がこってくる。
このことに気が付かなかったのは、総義歯を入れて、調整終了して一か月後とかに患者さんが来院することがほとんど無いからだ。
来る理由がない。抜歯即時義歯の時ぐらいだが、その時は入れ歯が合わなくなっているから、肩こりは当然だ。
忙しくて入れたっきり1か月も来なかった患者さんだったから分かった。
入れたばかりの時のフットビューは後ろ重心が強かった。やはり、フットビューはしっかりとスウィング干渉を捉えている。
それがスウィング干渉を調整すると改善する。肩こりも取れる。
調整部位は黒く塗った処だ。これで、やっと治療のゴールなのだと思う。

それにしても、総入れ歯の患者さんにスウィング干渉部位をピッタリと指摘されたのには驚いた。
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入れ歯とのくらし | コメント(1) | トラックバック(0) | 2017/04/25 04:31
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