むし歯の診断

患者さんは何か主訴を持って訪れるわけだが、それに対する診断は、こちらにどれだけの用意があるかによるのだということに最近次々と遭遇して、不思議な気持ちになっている。
多くの患者さんは、歯の痛みを訴えて来院する。
その痛みの原因を調べて、○○による××という病名を付けるわけだが、以前とは全く違う原因を調べていることに自分で驚いてしまう。
あごろべえ先生の病因論の大系が、少しずつ霧が晴れるように現れてきて、全貌がおおよそ分かってきた。
歯医者になって今年で40年目になるが、35年前までには一度も考えたことのなかった原因が、多くの患者さんの痛みの原因だった。

まず、絶対に間違いが無いと思われる、私の主訴から解析してみよう。

 右上2番の近心に大学生の時?にむし歯が出来て親に詰めてもらったのだが、しばらくして取れた。
つい放置していたが、全くと言っていいほどむし歯は進まなかった。
ただ、当時は煙草を吸っていたこともあり、その虫歯がヤニでまっ黒で、笑うと見えて恥ずかしいのでスタッフに頼んで詰めてもらった。
それが、今日まで数年で取れて詰め直すことになる始まりだった。
次第に、取れる頻度が増してきた。今年になってまた取れた。

たかだか、小さいむし歯一つで、患者さんはこんなに細かく説明することは無いと思うし、こちらからも聞かない。
「むし歯ですね。詰めましょうか?」「お願いします。」ということになって、削って詰めて終わる。

昨年、旅行中にその歯が痛くなった。今年も、旅行の後、少し痛くなった。そして、気が付いたら取れていた。
充填物が取れるのは、旅行が原因だったのだ。
取れる頻度が増してきたのは、最近よく旅行するからだろう。

旅行には、スーツケースを持って歩いて、ショルダーバッグを肩に下げる。
僕は、右手で引いて歩くし、右肩に下げるみたいだ。
すると、右肩を上げて体を少し左前に倒して歩くようだ。
その時に、体の傾斜と反対の右に頭を少し傾けて重心調節しているみたいだ。
少し歳を取ったし,旅行の日程も長期取れるようになってきた。
それらで、疲れて、とぼとぼうつむいて歩いていたのだろう。
それで、右上2番があごのスウィングの戻りの時にぶつかってしまうのだ。
特に、ショルダーバッグがよくないようだ。
パソコンを持ち歩くようになって、どうしてもショルダーバッグが必要になった。
それらが重なって取れる頻度が増してきているのだろう。

病名を付けるとすれば、

 旅行性カリエス?
 ショルダーバッグによるむし歯?

だから、詰め物が取れても全く進まないのだ。40年、取れてる時の方が多かったが、全く変わらない。
もし、リタイヤしてアメリカの金持みたいに世界を回って遊んで暮らすことをしたなら、そこのむし歯は進行するだろう。

それにしても、自分の症状とはいえ、こんな解析をすることが出来るなんてことに、とても驚いた。
変わった患者さんが変なことを言うのじゃなくて、40年も歯医者をやってきた僕が、このような奇妙な解析をして、それを完全に納得するということは驚くべきことだ。
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歯の問題 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2015/08/28 00:00
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