印象の大切さ

僕は、もう30年前から、総義歯はティッシュコンディショナーで印象している。
あれほど便利な材料は無いと思っていたので、みんなそれで印象しているものと思っていた。
ところが、札幌の仲間内の講演の打上げ懇親会では、ほとんどその材料で印象している先生は居ないようだった。
聞いてみると、固まるのに時間がかかるのでどうも?とかいう話だった。
僕は、スタッフに印象してもらうから、時間がかかっても関係ないというと、え!そのスタッフすごいですね。義歯の形態が分かるんですね?という。
どうも、ティッシュコンディショナーの便利さが解ってない先生が多いようだ。
何回でもやり直し出来るのが、最大の長所なのだ。
スタッフが採ってきた印象を見て、ここがダメ、そこがダメと言って指示するだけだ。
ダメなところを、はさみで切り取って粘土みたいに張り付けてやり直せばいいだけなのだ。
全く継ぎ目が無く採れるし、ほとんど無圧で採れるから、フラビーガムでも特別な術式は必要ない。
最後に僕がその印象に修正を加えて仕上げるのだから、法的にも問題は無い。
それに、蔵重先生のシステムは、適正な咬合高径の閉口状態で印象するので、普通に開口状態で印象するのに比べてより生理的だ。
だから、完璧な印象が採れる。

しかし、盲点があって、筋形成の口の動かし方が足りないと全体的にはきれいなのだが少し長い印象が採れることがある。
これは、なかなか見分けが難しい。
それで、この前の患者さんは失敗したのだ。
義歯のDTT

もう一度、このスライドを示す。僕が加えた義歯だけに使うDTTのフィットチェッカーがそのヒントになる。
不適合な義歯を入れていると、肩や首がこってたまらない。
それに、ちょっと適合検査材のフィットチェッカーを入れるとたちまちスカッとこりが取れる。
全身写真を撮ったら姿勢が改善しているし、フットビューという足裏重心圧測定器でも真ん中に重心が乗ってくる。
僕は、これをシナプス化と言っている。
完全に一体化することによって、プラスチックの塊にたましいが吹き込まれて、体の一部になる。

この前の失敗のように床縁が長すぎて違和感があったり、浮き上がったり、ふらふらして指で押さえて咬合採得しなければいけないようでは、そもそも顎位を定める神経筋機構が正常に働かない。
だから、同じように咬合採得しているのだが、1mmほど前方位で採れたり、逆にそれを恐れて顎を押し込んでしまって苦しい顎位になる。
このようなエラーが一番合わないことになる。
それは、旧義歯の顎位から生理重力下顎位へのスウィングの軌跡に無い顎位だから、どこで咬んでも痛くてたまらない、どうしょうもない状態になる。
これが、テクニックエラーそのものだ。
総義歯の印象は、上顎はほぼどうでもいいが、下顎はピッタリ吸着するか、小さな入れ歯が好きなら2枚のガラスの間に水を垂らした時に引っ張っても決して引きはがせないように接着するか、そのどちらかでないと、シナプス化しないのでバイトが上手く採れない。
接着印象は、昔あった石膏印象とか、大変なテクニックを必要とする。
蔵重先生のJKリニアテクニックは、もっとも簡便な吸着印象だ。
僕は、この方法を大学の総義歯教育のスタンダードにすべきだと思う。

もう一つの方法は、咬座印象だ。
僕は、これをあまりやらないが、試適してみたら印象が悪くて前歯部の床縁が少し短かったとかの時に、たまに印象の修正のために咬座印象することがある。
すると、やはりほとんど咬合調整が必要ないほど合う。
リベースしたと同じことになるわけで、これもいい方法だ。
バイトの位置さえ正しければ、傾きが床と粘膜の間の印象材で修正されることになる。
問題はその前で、位置を間違えていたら元も子もないということだろう。
咬合採得をスウィング干渉する平らなロウ提でするわけだから、残念ながら同じ懸念はあるわけだ。
それに、その咬合採得する基礎床をスナップ印象で作るわけだから、上に挙げた通りの失敗が起きやすい。

だからやはり、スウィングキーパーDの方式が一番確実だと思われる。
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入れ歯とのくらし | コメント(0) | トラックバック(0) | 2015/07/31 00:00
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