米長という人

米長という人ほど毀誉褒貶の激しい人はいない。

名人や多くのタイトルを取った実力者で、ただ強かっただけでは無く、多くの人にその人間的な実力を認められ、東京都の教育委員や、将棋連盟の会長を長く務めた。
みんなが思いあぐねるような、混沌とした現状を変革するビジョンや決断力は群を抜いていた。

ところが、自分の弟子の棋士にその棋士の婚約者を寝取られたと告発され、もう一人のストイックな性格で知られている弟子に師匠のセクハラをとがめたために将棋連盟の理事を降ろされたと棋士総会で暴露された。
弟子は、愛人との連絡係までさせられたそうだ。
中原の不倫の相手の女流棋士は、こんな環境の中で少女時代を過ごしたから、師匠より強い相手に憧れて不倫関係を持ったのではないか?と推察される。
そもそも、米長は奥さんが居ながら、俺は千人の女を知っている。と公言していた。
君は、千一人目の女性だ。僕の愛人にならないか?と言って口説いたそうだ。
それで、口説き落とすことが出来るというのは素晴らしい。正に、天才だと思う。
百人だったかな?記憶がインフレーションしたかもしれない。まあ、ドンジョバンニのカタログの歌みたいなもんだ。
奥さんには、愛や恋などは大したことでは無くて、一緒の墓に入るということこそが運命的な結びつきなのだ。と言っていたようだ。
金についてのうわさも絶えない。
電王戦の自分の対局の契約料も、連盟が契約したのにもかかわらず全部ポケットして事件になった。
1千万とか言われている。

このような人を、僕は他にも知っている。
女の問題については比較にならないが、世間のルールを飛び越えながら、毀誉褒貶の中を堂々と渡り歩いて、決して致命的な失敗をしないで、人生を全う出来る人。
身近にいる人は大変な苦しみを味わうことになるが、決して存在を否定することは出来ず、アンビバレントな振幅の激しい感情の中を右往左往させられる。
そのような人は、どのような人格なのか?
そのような人と、けっこう長く付き合ったので、かなり理解できるようになった。

一言でいうと、西洋の神の性格と似ている。
ギリシャ神話の神も聖書の神も、とても自分勝手で疑い深く、意に沿わないと復習する。
特に、聖書の神は人間の暗部を知り尽くしている。
あいつは、必ずや悪いことをするぞ!といつも疑っている。
余裕ありげなそぶりなんだけれど、その実はいつも心配ばかりしているんじゃないか?
世界を創造して人間も自分が作ったのだから、もっと鷹揚でよいはずなのだが他の神を強く意識していて、それを一番恐れる。
というより、他のことはどうでもよくて、自分が崇められることだけ望んでいる。


どうも、人間には二つの性格の類型があるようだ。
神と似ていて、常に確信があるように見える人。
自分が被造物で有ることを自覚していて、どうしたら褒められるだろうと考えざるを得ない人。(アイデンティティの強弱。)
自分に危害が及ばないかといつも警戒している人。
他人に危害を与えたのではないかといつも反省や後悔をしている人。(心配性の人と、後で反省する人。)

神は決して反省や後悔をしたりはしない。それは、神の定義から外れていることだからだ。

神タイプの人も、反省や後悔を見せたことが無い。迷いもない。どんなことでも、瞬時に決める。
まことに確信に満ちて見えるが、心の中は心配地獄の中に暮らしていたのではないかな~
被造物タイプの人(というかみんなそのはずだけど)は、少なくとも、心配の苦しみは少ない。
心配と後悔のどちらがつらいかというと、後悔はすでに過ぎ去ったことなので諦めを内包している。
それに対して、心配は未来に対するするものなので、際限がない苦しみだ。
それに耐える強い心のエネルギーが、そのようなタイプの人のカリスマ性をもたらすのだろうと思う。
僕が10年も関係したある人と、米長はあまりにもよく似ていた。

ヤジロベエの原理で考えると、どちらもホンの少しずれているモーメントが時間とともに少しずつ拡大していくベクトルを持っていたにすぎないのだろうとも思う。
揺れたり戻したりしながら、齢とともに心棒が少しずつその運動によって傾いてきて、しだいにずれが拡大していく・・・
この前ラッパの先生が、赤道上に立ってそこから1m南北に歩いただけで、水流の渦や体の状態が劇的に変化したと教えてくれた。
とすれば、すべての人の特徴的な傾向は、最初のベクトルがどちらを向いているかだけなのだろう?
利口なのかバカなのか?利己的なのか利他的なのか?権力を求めるか真理を愛するか?色を好むかさっぱりあたらないか?実利的なのかうわの空的なのか?
みんな、自分の関心のあることに向かって努力して、それなりに人と違う人格になる。
そう考えると、みんな天才だ!
ただ、まだ発掘されていないだけだ。
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あれやこれや | コメント(0) | トラックバック(0) | 2015/04/23 00:00
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