円錐コロ

ナソロジーは、非常に精緻な大系とシステムを作り出して、補綴の技術革新に多大な貢献があった。
しかし、弊害も多かった。
僕は、ナソロジーに何か恨みがあるわけでもなく、特別その学派が間違っているというつもりもないし、そんな能力も無い。
ただ、今も一番影響力のある、主流をなす学派なので取り上げるだけだ。
どの補綴の学派も工作のような大系であって、たいして違いが無い。

1991年に出版された「構造医学解析1」は、-ヒト平衡系のバイオメカニクスと顎関節の生物学的意味ーという副題が付いていて、二足直立のために平衡を取る2つの関節である顎関節と仙腸関節のことが書いてある。
ちょっと気になってもう一度読み直してみたが、「中心位」という言葉は一言も無い。
これまでの歯科医学の歴史的な発見の主なものが図示されている。
ナソロジーが発見したであろうサイドシフトなども載っているが、中心位という言葉だけが無い。
なるほど~と思った。

この本の中で一番解らないのが、「円錐コロ」だ。
顎関節の形態の中に円錐コロの形状が隠れているという。
この円錐コロ形状は、慣性ジャイロとして働くという。
は~そうなんですか?としか言いようがない。全く解らない高度な物理学の解析だ。
しかし、なんとなくこれに顎位と咬合採得の問題が示されていると感じる。
口を開くときの関節の位置の移動の軌跡の方向性の制御原理が書いてある。
口を開くというのは、高径が変化した時の関節の動きということだから、歯が無くなって高さが減った時にもこの原理は働くはずだ。

あごろべえ先生が、スウィングキーパーがロスしたら、つまり歯が抜けて高さが減ったら、一定方向に顎位がずれていくということを発見した。
しかし、ずれていったら食べづらくなるかといったら、そのような高径が低下してクシャっとした入れ歯の方が却ってよく咬めるという傾向がある。
つまり、下顎頭なんてどこにあっても、きちんと支点として働く。
どの位置でも支点として固定できるのは、たぶんこの円錐コロの働きなのでしょうか?
    円錐コロ

低い入れ歯の高径を上げると、顎位の前後左右の位置が変化してしまうから、総義歯の咬合採得で恥をかきやすい。
それは、高径の変化で頭位が変化するから、コロの斜台自体の傾きが変化する。そのため円錐コロが斜台上の位置を変えるからで、円錐コロ形態には自律的に方向を探す羅針盤が形状に組み込まれていると書いてある。
これが慣性ジャイロで、一定の咬合高径では一定の顎位に自律的に定まることを意味するのではないか?

そう考えると、どこにも中心位などというものが存在しないのは明らかだ。
そして、円錐コロというのは重力が作用するのだから、高径の変化による顎位の変化は、生理重力下顎位(頭が真っ直ぐになる下顎位)と頭が倒れ込んだ下顎位とを行き来するのでしょう。
そしてどこに行っても止まって支点になるのには、もう一つの仕組みがあると書いてある。

中心位という顎位を意識してしまうのは、咬合採得時に何かカチッと嵌ったような感触がある再現性がある顎位があるからだと思うが、この慣性ジャイロである円錐コロ形状の下顎頭の自律的な定位性による錯覚ではないだろうか?


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入れ歯とのくらし | コメント(0) | トラックバック(0) | 2015/01/28 00:00
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