頭位軸慣性平衡器

オリンピックが終わったが、まだ目に残像があるうちに重要なことを解説しておきたい。

構造医学用語に、「頭位軸慣性平衡器」という言葉がある。
これは、あごのことを言う。
患者さんはもちろん、ほとんどの歯医者も何の話しなのか分からないと思うが、これこそがいわゆるかみ合わせの問題の本体なのだ。

スキーやスノボーやスケートで、滑走したり、回転したり、ジャンプしたりするのがウインタースポーツなわけだけれど、この運動を制御している司令塔と言えるものが、あごなのだ。
例えば、ターンしているときは雪面ギリギリまで体を倒したりするが、よく見ると、頭は鉛直に近いことに気が付く。
これは、鳥が飛行しているときも同じで、ひらりと宙返りしても、その瞬間瞬間を撮った写真を見ると頭は鉛直になっている。
つまり、ぶら下がったあごが測量の下げ振りのように重力を捉えて、頭の軸を真っ直ぐにしているわけだ。
このように、重力という絶対基準がある3次元的な位置情報があって初めて、平衡と姿勢がある。
僕たちは、高校で三半規管・前庭器官が平衡制御器官だと教わったが、それよりも基礎にあるのがぶら下がっているあごという運動体に掛かる重力と慣性力と加速度による直接的な頭位軸調節機構だったわけだ。
例えば、スキーである回転から次の回転に移るとき、最初に動くのがあごであるらしい。
あごの動きが運動のきっかけを作り、頂上にある重い頭を進行方向に向けることによって体全体がターンしていく。
オリンピック選手と僕のような下手くその一番の違いは頭の位置だ。
そのような視点を持って写真を見ると、それは一目瞭然で、疑問の余地が無い。

かみ合わせの問題は、この慣性平衡器(あご)の問題だったわけだ。
その原理は、すでに25年前に発表されていたが、いまだに大学で講義されたこともなくほとんどの歯医者は知らない。
そして、いまあごろべえ先生によって、慣性平衡器がヤジロベエ構造をしていたこと、基準位置の狂いやその動きの干渉(歯の)による頭の位置不良の診断基準と治療法が明らかにされた。
これらは、人の基本動態の解明なわけだが、物理的治療は検証が難しくて、一般化することがとても困難だ。
まだまだそれが常識化するには長い時間が掛かるだろう。

フィギアスケートで3回転とかの難しいジャンプをするとき、その体の準備と心構えのためだと思うが、後ろ向きに少し長い滑走をするが、その最後のほうの姿勢は少しうつむいて体はそのまま静止したら後ろに倒れる感じに左後ろに回旋して傾いている。
かみ合わせに問題があって、何らかの症状を持っている患者さんに多く共通する姿勢は、この回転ジャンプ前の姿勢だ。
常に重心が後ろにずれているので、倒れないように頭を前倒しにして体を回旋させて何とか転ばないようにバランスを取っているわけだ。
その無理な姿勢による体のひねりや、姿勢を維持する持続的な偏ったエネルギーが体に負荷をかけ、病因になる。

結局、今回の舌が痛かった患者さんも、全く類型的な姿勢だった。
その患者さんによって体質が影響するのだろう、弱いところが異なっていて、頭痛とか、肩こりとか、腰痛とか、うつとかパニックとか、アトピーとか、症状は多様だ。
しかし、姿勢と、首と肩のこりはほとんど変わらない。
だから、頭のバランスを調べる首と肩のこりの診査がかみ合わせの基本的な診査法になるわけだし、慢性的なこりがある人はそもそもかみ合わせに問題を持っているということが推測されるわけだ。
そのような患者さんは、ごく普通の歯科治療でもバランスを崩して、下手すると奈落の底ということもあり得る。
それじゃ、治療しない方が良いかというと、何倍という確率で、病気になる。
それは、歯科医師会や健康保険組合の疫学的な調査で、すでに結論が出ている。
必要なのは、診査・検証法とリカバリーの方法だ。
そして、上手な治療後やリカバリー後は例外なく首と肩のこりは解消するか、著しく改善している。
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やじろべえ | コメント(0) | トラックバック(0) | 2014/02/28 00:00
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