歌舞伎役者の子育て

もうすぐ新歌舞伎座が出来上がるというのに、有名な歌舞伎役者が相次いで亡くなった。

僕は、歌舞伎役者とか能楽師とか舞踊の家元とかはほんとに立派だと思うんだよね~

金儲けの神様と呼ばれた邱永漢という作家は、歌舞伎役者など伝統芸能の家元がどんどん立派な勲章をもらったりすることに対して、あんな世襲の人が勲章をもらうのはおかしいと、昔エッセイに書いていた。
世襲で成れるものに才能なんか必要ないだろうし、発明・発見をしたわけでもない。
勲章をもらえるようなものなのだろうか?と言う。
裸一貫で、自分の力だけで成り上がった人は、たいていそのような感想を持つようだ。

テレビで、勘三郎と野村 萬斎の子供時代の修行と、親になってからの子供に対する伝授、指導の様子をたまたま相次いで見た。
3歳から父に教わり、まだ小学校に上がる前から舞台に立つ。
その子を全て「型」の中に入れてしまうのでしょう。
だから、確かに才能云々ではなくて、その子が歌舞伎や能そのものになってしまう。
伝統芸能の家元は、みなそのような子育てをしているのでしょうね。
尊い事だと思います。
まことに勲章に値するのではないでしょうか?

周りの子供たちとまったく違う勉強を毎日させられるわけだから、大変だ。
子役の時には、学校を休んで出たりもするのだろう。仲間はずれになりやすいはずだ。
必ず跡を継がなくてはいけない。これは使命だ。
きっと、親ばかりじゃなくて周りがみんなでそんな雰囲気に固めてしまうのだろう。


僕も、おじいちゃんおばあちゃんにそんな風に固められた。
必ず、歯医者にならなければいけないと思い込んだ。
それは、相当に息苦しかった。
それで僕は、子供たちに別に歯医者に成らなくてもいいよなんて言っていた。

僕の周りの歯医者を見ると、子供を歯医者にした人のほうが少ない。
聞くと、歯医者という職業はもうだめだからという。
僕は、逆に歯医者は有望だと考え出して、子供が大きくなってからやはり歯医者になれと勧めた。

反省している。
歌舞伎の家元みたいに、必ず跡を継いでほしいと小さい時から言うべきだった。
歌舞伎役者は、使命感で子供に跡を継がせるのでしょう。
芸の世界だから、跡を継いで成功する保証など無い。親は、祈るような気持ちでしょう。
それが子供に伝わって、親や周囲の期待にこたえようと、きびしい修行に耐える。

今頃の子育てが上手くいかないのは、大儀が無いからだと思う。
貧乏なときには、苦労している親に楽をさせたいという子どもの自然な気持ちがあって、上手くいった。
でも、親にほんの少しでもゆとりがあるともうだめだ。
誰のことでもない、あなたの将来のためなのよ。では、その気になる子は少ない。
自分に欲が無く、誰かに喜んで貰いたいという優しい性質の子には、それでは無理だ。
近頃親が子供に躓くのが当たり前の感があるのは、社会のためでも親のためでもなく、あなたのためよという、教育の大義の無さのせいでしょう。

考えてみると、個人営業で跡を継がせることができる商売なんて数えるほどしかない。
その上、人気が無くて入りやすいんだからすばらしい。
そんなにもうからなくてもいいじゃないか。栄枯盛衰は時の運だ。
決して、昔の町のラジオ店や時計店のようなことになる職業では無い。
WHOは、歯科のイノベーションを想定していなかったので、予測を誤った。
歯医者は、みな子供に跡を継ぐように小さいときから言っておくのがいいと思う。
そうすれば、それに逆らってほかの仕事を自分で選ぶときには、それなりの覚悟を持ってやるようになるだろうし。
どちらにせよ、子供が隘路にはまる恐れが少ないように思う。

昔と違って、我々戦後生まれの親は苦労してないから、つい目先を見てリスクを忘れてしまう傾向がある。
最近の親の躓きがニュースになるたびにハッとする。
今の所、大過なく子どもがやってくれているからいいものの、反省している。
スポンサーサイト
あれやこれや | コメント(0) | トラックバック(0) | 2013/02/28 00:00
 | HOME | Next »