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たけしのアートビート

楽しい番組。たけしのアートビート。
僕はこれが楽しみ。

たけしが画家、工芸家、音楽家などに会いに行って、作品の製作過程を見ながらアーティストと対話する番組。
毎回いろんなジャンルの作家が出てくるが、工芸作家が多いように思う。
もちろん最初のうちは前衛アートが多かったように思うけれど、最近は工芸作家が多い。
音楽家は少ないようだ。
その工芸作家のセンスと技術へのこだわりが面白い。
工芸作家の世界と歯医者の世界は良く似ているように思う。

この前は、ベネチアのガラス工芸作家だった。
ベネチアングラスといえば、ワイングラスや、ランプシェードや、花瓶のようのものだけれども、そうではなくて昆虫なんかを作る。
小さなハエとか、微小のアリとか。クモの細くて長い足は見事だった。
たけしはカマキリを作ってもらっていた。ひねているよね~やっぱり。
注文されたら、その場で何も見ないで、10分ほどでほんとにカマキリに見えるものを精巧に作った。
見事な腕だ。

ルーブル美術館の元館長とかいう人が、沢山コレクションしていると権威付けて紹介していた。
アートだという。
アート?
そうかな~確かに見事な腕だけれど、そっくりに精巧に作るだけでアートと言えるかな?
王様は裸じゃないか!僕だって叫んでやる~

ネジ釘やドライバーなんかも作っていた。
なんでも、そっくりに作れるみたい。
歯を作って見せてほしかったな。

たぶん歯は作らないと思うな?
逆立ちしても技工士にかなわないだろう。
ただそっくりに精巧に作るだけでアートというならば、歯科技工物はアートを超えている。
歯の微妙なふくらみやへこみの女体のような流れるようなボディライン。少し透き通ったりくもったりする濃淡のある微妙な光沢や色彩。
それらが隣の歯と調和して、目を凝らしてもどちらがイミテーションなのか判らないほどの物を作れる技工士は沢山いる。
ただ1本の歯を隣とそっくりに作るだけならアートとは言えないが、ある程度の本数の歯を残りの歯に調和させるとなると、センスが要求される。
ハリウッドの女優のようなきれいな整った歯並びならば1本でも10本でも同じだけれど、日本庭園のようなバランスの歯並びに、ベルサイユの庭園のような対称な歯並びを入れたらまるで不調和だ。
そこに、元の歯よりも調和した歯列を作るアーティストもかなりの数いる。
落款も銘も入っていない無名のアート。

その上、豆腐から、するめに至るまでのあらゆる硬さのものを食べて、長期間機能する。
ほんのわずかの形態の違いで口の機能を阻害してしまって、壊れたり、体に傷害を与えてしまう。
その微妙な形態と機能の調和。きわめて精緻な世界だ。

歯科技工物は超アートだ。


たけしが工芸作家の製作過程を見ては驚嘆しているけれども、歯科技工物の製作現場も紹介してほしいね。
これこそアートだというかも?


ここまで書いて、はっと気が付いた。
僕は、歯科技工物の芸術性を患者さんに説明したことが無かった。
歯の素材とか、性能?とかは、保険の歯との比較で説明するけれども、出来上がって接着する前に鏡でみてもらって、どうですか?ええ、きれいです。これでけっこうです。それじゃ着けますね。だった。

技工士さんゴメンネ・゚・(PД`q。)・゚・

めがね屋さんだってブティックだって自分が作ったわけでもないのにデザインの工夫を細かく説明するのに、僕はしていなかった。
反省して、今日は保険の前歯4本のブリッジを入れる前に、手にとってよく見てもらって微妙なカーブの芸術性を説明した。
患者さんは、とてもうれしそうだった。

きちんと本当の価値を教えてあげなかったから、患者さんは値段が高いとか思うんだね。
素晴らしい工芸品?芸術品を買うんだから、手に取って良く見たいと誰もが思うはずだ。
僕は、むし歯の洪水で長い間追われる様な診療をしていたから、抜けていることが多いな~
僕の年代より前の歯医者はみなそうじゃないかしら?
患者さんに歯に対する誤った見方を植えつけたのは、他ならぬ僕自身だったような気がしてきた。

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技工士はアーティスト | コメント(1) | トラックバック(0) | 2011/11/21 00:00
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