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歯科は構造科?

僕は少し耳が遠くなったみたい。まだ自覚症状は無いけれど健康診断で判った。高音域の軽い難聴。
聴覚障害は、かみ合わせと密接な関連がある。詳しいことはまた機会を見て書こう。
顎関節症の患者さんは難聴の人が多い。入れ歯の患者さんも耳が遠いことが多い。
そもそも、入れ歯の患者さんはほとんど顎関節症だ。
あまりそんなことを訴えないのは、それどころではないからだ。
歯が入っただけで十分だ。そこらじゅうガタガタなんだから、そのぐらい気にならない。そんなところじゃないか?
耳と、顎関節は極めて近接している。発生学的にも同じ。だからそこの障害が波及するのだろう。

ベートーベンは耳が聞こえなくなったけれど、肖像画を見るとかなり気難しい顔をしている。
顎関節症の人に共通する陰鬱な顔だ。ベートーベンは顎関節症だったのではないか?
さ~どうだろうね?かなりくいしばりの癖がありそうには見えるけど。

アレルギー性とかの鼻炎の人は沢山いるが、耳鼻科に通ってもなかなか根治しないようだ。
そのような人は大概歯並びが悪いか、かみ合わせが悪い。
例えば、開咬(前歯が咬み合わさらない)、叢生(ガタガタの歯並び)、交叉咬合(上下の歯並びが交叉している)、Ⅱ級咬合(下あごが後退している)の患者さんは鼻炎、鼻づまりのことが多い。
急速拡大装置などで上あごを拡大したり前方牽引装置で牽引したりして矯正すると、ほとんどスカッと治る。
それは当然のことで、歯と鼻腔・上顎洞は、同じ上顎骨の裏表の関係にあるのだから。
構造的な問題で起きている症状を薬で治めようとしても限界があるだろう。
本来は歯科領域の疾患なのかも?将来は耳鼻科と矯正歯科が共同で治療に当たることになるかもしれない。

かみ合わせがよくなると、目がパッチリと大きくなるし、視力も上がったりドライアイが治ったりもする。

前から言っているように、平衡器としての下あごを整えると頭痛も肩こりも50肩も腰痛もよくなる。

くうにゃんのブログにあるように、平衡器としての下あごはうつ的症状や全身的な倦怠感にも関連している。


これらの治療効果は、すべて物理的なものだ。
顎口腔(あごや口)の形態と機能が良くなかったために、そのような症状が起きていたのだ。
それは、構造的な問題だ。

物理療法、理学療法というものがある。
物理的な方法によって治療を行う方法。機械的な力を利用する運動療法・マッサージや、電気療法・光線療法・水治療法・温熱療法などがある。
すこし似ているが違う。それらは、薬の代わりに物理的に治療する方法でしかない。

体の構造を本来の状態に整える。それが歯科治療だ。

頭の中心と体の構造に同時に作用することが出来る科は歯科だけだ。

小さいものは、虫歯の穴をつめる。冠をかぶせる。ブリッジを入れる。入れ歯を入れる。インプラント。
歯並びを整える。かみ合わせを整える。あごの大きさを整える。舌や口腔周囲の筋機能を整える。
口元の審美性を整える。平衡器としてのあごの位置を整える。
そのことによって体の機能が本来の状態になり、総合的な予防・治療となる。

全て物理的な構造回復・構造改革。
回復させるというより作り変えるといったほうが近い。
むし歯に詰めたり被せたりは回復だが、矯正治療などは悪い構造から良い構造に作り変える。
構造を整えるというのがピッタリする。
よく考えてみると、このような治療は歯科以外には無い。
内科は薬という化学的な治療だし、外科は悪い組織を取り除くだけだ。生体の自然治癒力で治る。
一番似ているのが、整体やカイロだろう。
整形外科はやや似ているが、形態の回復以上のところまでは至っていない。
歯科もそうであったが、形態の回復から機能の回復へと進んで行って、いまや遥かに先を行っている。
比較的取り扱いが容易な器官だからだろうけど。

矯正治療は今は審美的な要請がほとんどだが、その構造改革力は大変なものだ。
しかし、個別な問題の解決のようになってしまい、その効果を薬のように統計処理することが難しい。
簡単に証明することが出来ないことばかりなのだから、エビデンスをめぐってすれ違いがおきるのも当然だ。
この問題を解決するには時間が掛るだろう。
歯科医自体にその自覚が無いということもあるし。

現代は、構造の崩れによる病態が低年齢化してきている時代だ。
顎口腔を筆頭にして、身体の構造が全て脆弱で未発達で歪んできている。
顎口腔は、身体の姿勢・構造を保存するところ。
幼児期からの姿勢・構造を、咬合という双方向で可変可能なかたちでコンピュータ・プログラムのように保存している。
歯科の出番。構造科の時代が来ている。
それには、パラダイムシフトが必要だ。



このうわの空の講座を書き始めてもうすぐ1年になる。
中締めとして、この前から歯科の現状、課題、進むべき方向をまとめてみた。
みなさん、いかがでしょうか?


10月のカレンダーは雁。
先月は月だったから。ぼうずは8月か?
まあ、末広かな?‘


某さん。hazelさん。

>その医院は予約した時間より30分遅れはざらで、診察室に入っても、診察台に計4人の患者さんを、先生1人が渡り歩いてちゃちゃ~っと削ったり、歯科衛生士さんに色々指示したりして、診察室に入って出るまで1時間もかかる事も、実質の治療は5~10分ほどでした。

その歯科医院は、多分私の所です。
最近は歯医者が増えたから、だ~れも患者さんがいないなんてみじめなことがたびたびありますが、昔はそうでした。むし歯の洪水の災害復旧現場ですから。意外にも洪水が収まってきたので、そう思うだけです。
そして、患者さんもちゃっちゃと簡単に修理してもらいたいのですから、それなりに役割を果たしているはずです。

患者さんは、もっと丁重に診てもらいたかったとは思いますが、時代・状況というものがあります。
でも、そのような経験。多くの患者さん。数見る経験がないと、問題に気づくはずもありません。
最初から上手なんてことがあるはずもなく、歯医者は患者さんが育てるのです。

僕も、ずいぶん患者さんを診させていただいたので、もっと上手くなりたいな~
歯医者はみんなそう思っているんだけどね。
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エビデンス | コメント(5) | トラックバック(0) | 2011/10/29 00:00
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