加藤九段が語った、最大の危機

ついに、藤井君は28連勝。
新聞の号外まで出た。すごいな~
それに、羽生と違って全くカリスマ性を感じない、普通の中学生にしか見えないところが可愛くていい。

ところで、先日引退が決まった加藤九段なんだけれども、前歯が4~5本派手に欠けていて、とてもかっこが悪い。
まあ、ブタブタに太っていて、ほとんど一切見た目に気を使わない人だから、それも天然キャラとして似合っていないことも無いけど・・・
ネットの記事にそのことに触れたものがあった。

 質問: 加藤先生は、どうして前歯の虫歯を治さないんですか?

 加藤九段: 昔、前歯を入れたときに、急に将棋の指し手が浮かばなくなって困った時期があって悩んでいたら、あるバイオリニストが前歯を治療した後にバイオリンが上手く引けなくなって苦しんだという記事を読んだ。
それですぐ、歯医者に行って前歯を外してもらったところ、以前のように手が浮かぶようになった。
だから、私は前歯は治療しないことにしているんです。
あの時は、私の棋士人生の最大の危機でした。

まあ、単なるユーモラスな変人のエピソードぐらいに紹介されていた。
たぶん、歯医者が怖くて行きたくないものだから、そんな理由付けをして自分に言い訳してるに違いない。
誰だって、そう考える。
でも、僕らから見たら、これは完璧なスウィング干渉の症例に見える。
前下がり顎位のタイプに前歯の蓋をしてしまった症例に違いない。

今の加藤九段を見たら、でっぷりと太ってはげあがった赤ら顔の典型的なブラキータイプ(四角いガッチリとしたあご)のオジサンに見えるのだが、若かったときはすごい美男子だった。
高校生の時に、学生服で大山名人に挑戦した。すらっとして、ものすごくかっこよかった。
その頃は、僕は小学生だったし将棋にも興味が無かったので、後で見た写真での印象だけれど。
僕がプロの将棋を見るようになった時には、あれほどではなかったけれど、すでに太っていた。 
人間は、全く解らないものだ。藤井君が将来あんな感じになることだってあり得る。ちょっとやだな。
神武以来の天才と言われた頭もルックスも最高の天才が、はげで庄屋さんのような大山名人に何度挑戦しても跳ね返されて、次には中原にも抜かれて、もう、将棋のこと以外一切構わない半分きちがいのようになった。
そして、クリスチャンの求道者タイプだから徹底していて、その将棋に対する姿勢はまさに無我夢中、神に祈るように指している。

その記事を見て、若い時の加藤九段を思い出してみたら、ドリコタイプのしょうゆ顔だったような気がする。
それならば、加藤九段の棋士人生の最大の危機という言葉にうなづける。恐ろしいものだな~ 
何か、頭がしびれたようになって、何も考えられなくなった。というようなことを言っていた。
そのバイオリニストも、加藤九段もプロ中のプロだからこそ、炭鉱のカナリアのような感度で、その原因が入れた前歯にあるということが分かったのでしょう。
並の人間なら、とても気が付かないはずだ。
スポンサーサイト
スウィング | コメント(0) | トラックバック(0) | 2017/06/22 15:10

時々走り、時々食べる

1月のあごろべえ先生の出版記念祝賀会の翌日、ラッパの先生の本の企画を持って出版社に行った。
その席で、あごろべえ先生が編集者にいろいろと説明していて、ふと気が付いた感じで言った言葉が耳に残っている。

 人は時々走り、時々食べる。でも、多くの時間は歩き回っている。

あごろべえ先生のスウィング現象の発見は、今までの歯科のイメージとかけ離れているためにとても説明が難しい。
しかし、たとえ100%間違いがない処置であっても、患者さんに嘘も方便ということで分かりやすい違う説明をすることはいけないことだ。
でも、頭が揺れた時に歯がぶつかって痛くなったんですよ、ですからぶつかりそうなところを削って形を直しましょうと言って、理解してくれる患者さんは半々という所だろうか?
患者さんには、被せてある冠を削るのなら構わないが、まるできれいな虫歯のない歯を削られることはすごく抵抗があるようだ。
何年も経ってから、あの時削られた歯がしみるようになったとか言われることがある。忘れていない。

その説明で患者さんが納得しないのは、前提となる歯科常識が間違っていたと言えば語弊があるが、表面的な認識であったからだ。
前提となる認識を改めてもらわなければ、どんな説明をしても患者さんは納得しない。
というよりも、歯医者の方が強固に既成の歯科常識にとらわれていて、納得しないどころか反発してくることが多い。

要するに、歯は食べるためにある。あと、おしゃべりとか見た目とかの問題を治すのが歯医者だという認識。
これは、正しいし、誰もが納得する現実だ。
しかし、あごろべえ先生は、人が直立二足歩行するための前提となる平衡を司っているのが歯で、歯科的な問題はそこの不調和によって起きるという真の原因と病因を見つけたわけだ。
この、表面的な病因と真の病因との関係が、理解を妨げている。


先日、新患が右の奥の方の歯がしみたり、痛いというほどでもないけどなんとなくいつも気になる。むし歯かどうか見てほしいということで来院した。
まあ、スウィング干渉に違いなく、最近はこんな患者さんばかり来院すると言ってもいいくらいだ。
むかしは、こんな患者さんにどう対応していたのかを思い出そうとしても、思い出せない。
認識が無かった現象を思い出そうとしても出来ないのだ。

 あのね。歯の働きというと食べることでしょ。他に、大切な働きがあるんです。
 食べるのは時々で、同じように時々走ったりするけど、ずっと食べたり、ずっと走ったりできないでしょ。
 それ以外の時間、人は何をしているかというと、ほぼ歩き回っているんです。
 歩いているときの方が圧倒的に多いので、その時の問題の方が歯に影響するんです。

ここまでの説明が、足りなかった。以下の説明をいつもしていたが、大前提が違えば納得できないだろう。

 歩いたときや、振り向いたり、うつむいたりしたときなどに傾いた頭を戻すのが歯の役割なんです。
 例えば、居眠りすると頭がガクッとなるように頭はバランスで維持されているので、頭が振り回されないように傾いたらそちらに下あごが行って起こし上げる働きがあるんです。
 右に頭を傾けて口を閉じると右の歯だけ当たり、左に傾けると左だけ当たるでしょう?やってみてください。
 このように、下あごは頭をサポートしているんだけど、歯列の中でちょっと出っ張った処とかがあると、いつもそこだけが傾向的にぶつかるので、そのトラウマが積もってしみたり痛くなったりするんです。
 そして、それが続くと、穴が開いたり折れたり、歯周病がそこだけ進行したりするんです。
 その当たりのせいで頭を起こしきれないために、傾いた頭のせいで肩もこります。

これが、スウィング干渉の歯科的病因。
スウィング | コメント(0) | トラックバック(0) | 2017/03/18 00:00

雪のスウィング干渉 総入れ歯

土曜日に急患で来た患者さん。後期高齢者の総入れ歯のおばあさん。
夏にも来院していて、その時に入れ歯がきちっと合っていることを確かめていたから、こちらは余裕。
いつから痛いの?と聞くと、2週間ぐらい前からと言う。
だんだんと痛みが増してきたようで、やはり、日曜日にひどく痛くなったらどうしよう?と思って、焦って来たのでしょう。
この辺からこの辺まで歯ぐきが痛いと言う。
指先で口の中の痛い所を顔の上から示してくれたが、上下の前歯部分。
それだけで、すぐ診断がついた。
念のために口の中を見ると、上下の前歯部の頬側の床縁の辺りが赤くなっている。やっぱり。

背中が丸まっていて、秋口に道で会ったことがあるが手押し車を押して歩いていた。
二週間前ぐらい前から、根雪になった。旦那さんは元気だから、雪かきはしないはず。
買い物に歩いて行くかい?買い物には行くよ。
つまり、同じように手押し車を押して歩いていても、いつもと違い、雪道を転ばないように足元を注視して下を向いて歩いていると、あごが重力で前に移動しているから前歯部だけが当たってそこが食い込んできたわけだ。

あのね、買い物に行くときに、転ばないようにどうしても下ばかり見てるでしょ。その時に、歯を咬まないようにして歩いて。

もう一つ。入れ歯の人工歯の配列が良くなかった。
僕の入れ歯を作ってくれる技工士は、少し過蓋咬合気味に前歯部を配列する癖がある。
その入れ歯も、1,5mmほど被蓋があった。だから、前歯部だけが当たりやすいわけだ。
上顎前歯を1mmほど短く咬合調整した。

配列に、どこか基準と違うところがあると、このように何かの折に問題が出てくる。
いろんな理論・術式があるが、上下顎を手に持って頭とあごの揺れる方向にスライドさせてみることはとても大切な診査で、これこそが一番必要なことだった。
スウィング | コメント(0) | トラックバック(0) | 2016/12/20 00:00

雪のスウィング干渉2題

また憂鬱な冬が来た。
先週から本格的な雪が降って、早速雪のスウィング干渉の患者が来始めた。

最初は、ブルドーザー性のスウィング干渉。
3日前に来院した。
なんかわからないが、痛いような。気になって舌が行ってしまう。肩がこっているせいなのか?という訴え。
左上の4番。インレーの縁が少し捲れて引っかかる。
自発痛は無く、しみもしないし咬んでも痛くないようだが、打診すると、ボクボクと鈍い音。
あ、その歯だと言う。
よく聞いてみると、除雪のブルドーザーの運転手。
ここのところ急に雪が多かったので、びっちりブルに乗っていたということだ。
ブルドーザーは、運転席がかなり高い位置にある。道は雪で真っ白だから、路肩の歩道をひっかけないように下を向いて注視していたのだろう。おまけに、振動も激しいはずだ。
下向きの頭を、4番で支えていたに違いない。
その、金属のめくれているところを研磨したら、かなり肩こりがマシになった。
ブルドーザーに乗るときは、舌を上あごに付けておくように指示して治療を終えた。

昨日来院したのは、70代の農家のおじいさん。
右上543のブリッジの犬歯が咬むと痛い。
5日前に突然歯を合わせられないほどになったが、だんだんマシになってきた。日曜日に痛くなったら困るからと来院。
有髄歯だが、しみないし、自発痛もない。犬歯の根尖の辺りを押すと少し圧痛がある。
前の日に雪かきをしたかい?と聞くと、雪かきをして凍っているたい肥を掘り出して運んだとのことだった。大変だったそうだ。
こちらは、もっと重症。限界運動をさせると、犬歯誘導に乗り上げて、イタタ!
犬歯誘導を調整して、3本一緒にしたら楽になった。やはり、ラッパの先生が言うとおり犬歯誘導とは犬歯干渉のこと。
鎮痛剤を3日分ほど出した。
スウィング | コメント(0) | トラックバック(0) | 2016/12/17 00:00

診査法と検証法6

   咬合と全身の言説

これは、3年前の熊本セミナーの時に作ったスライドです。
さきほどの症例などを見ていただくと、このような言説は、逆さまであることが明らかですね。
咬合と全身どころか、咬合そのものにエビデンスが無かったんです。
局所の状態が生理的かどうかは、より上位の全体を調べないと分かるはずがないじゃ~ありませんか。
ただ、調べようと努力しなかったわけでは無くて、今までは、何を調べたら全体の調和が分かるのか?が分からなかったのです。

スウィング現象の発見とその解析においては、歯科処置のたびに重心はリアルタイムで変化するし、しかも、その理由が分かっているから、それを術者が狙ってコントロールできる。
こう主張し、その通りであることをME機器で証明出来ているのです。
これこそが、エビデンスでしょう。
フットビューによって、咬合は初めてエビデンスを得たと言っても過言ではないと思います。

スウィング | コメント(2) | トラックバック(0) | 2016/10/10 00:00
 | HOME | Next »