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歯医者の才能

先日、僕たちの北海道の研究会の集まりがあって、くまごろう先生にくまごろう塾を久しぶりに開講してもらった。
くまごろう先生は大変な名医なので、僕たちの仲間の歯医者が大勢治療を受けている。
その中の一人、敏感先生をモデルにして実習講義をしていただいた。

まず、現在の状態を診査して、体の状態に少し問題があるのを確認する。くまごろう先生が診査して問題を指摘すると、はいそうです、それは自覚していました、と即座に答える。
そして、その原因を作っている歯を診断して、トライボロジーテストのビニールフィルムを咬ませて確認する。その結果処置するわけだ。
被検者の敏感先生は、そのすべての瞬間の自分の体の変化を極めて敏感に感知出来て、その都度明確に表現する。
いま、重心が右前に移動してきて右足の膝上あたりに違和感がある。ビニールを咬んだ瞬間に左に移動して、この辺にあったもやもやが解消した。などと、自分の体の状態を瞬間に指摘する。見事なものだ。
首や肩のはり等も細かく正確な位置を指摘する。そして、顔色も目の表情の変化も極めてくっきりと変化する。
女性の患者さんにはたまにいるタイプだけれど、男でこれほど敏感な人は見たことが無い。
この先生は、歯医者の才能があるな、と感じた。

去年の大会で敏感先生が、その自分の治療体験の発表の最後に、私はこれからすべての患者さんにこれを実践していくつもりです、と宣言した。
その時はとてもおどろいたが、これほど敏感に体が感知できるならば、患者さんの状態も手に取るように分かるはずで、そうならばそうせざるを得ないだろうと理解できた。
いわごろう先生の不思議な治療も、自分の愁訴を治すためのものだった。くまごろう先生も、具合が悪くて、自分で治療して体調をコントロールしている。

よく考えると、僕らの仲間は自分が具合が悪いか、奥さんや子供が具合が悪いかがあって、かみ合わせの勉強に入った人が多い。
そうではなくて、純粋に向学心から勉強している先生もいるが、そういう先生たちの特徴は、ほとんど国立大学卒で、医者を目指して何浪かして仕方なく歯学部に入った人が多い。
ただむし歯を修理するだけじゃつまらなくて、矯正とか咬合とかの難しいことをしなければ気が済まないという特徴がある。
主に、この二種類の先生が僕らの仲間なので、国立大学出の比率が大変高い。

僕の印象では、自分に愁訴のある先生が圧倒的に腕がいい。
理屈じゃなく、体で分かる必要があるのだろう。
だから、女医さんはみんな腕がいい。
僕が、さっぱり腕が上がらないのも、体の感受性が鈍いからだと思う。
この前、いわごろう先生に右ひざの痛みを治していただいたが、そもそも膝に来るのは相当に後の症状で、そんな患者さんは例外なく首も肩もカチカチにこっている。
ところが、その自覚が僕には全くない。これじゃ~ダメだ。

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いわくま塾 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2017/12/01 16:02

親切なおばちゃん

いわごろう先生の新築の歯科医院は、すべてが好ましかった。
いわごろう先生はメインを咬合育成・小児歯科に定めているようなので、正面の医院の看板に娘さんが子供の時に書いた虫歯予防デーのポスターの歯ブラシを持った顔がシンボルとして添えられている。
待合室の壁も虫歯予防デーのポスターをプリントしたかわいらしい壁紙で、その壁に犬小屋の入り口のようなトンネルがあって、這い這いして子どもが診療室に出入りすることが出来る。

僕を診察して出来たスプリントを入れたら、治療椅子から立たせて少し離れたところからじっと僕の頭位や姿勢や重心バランスや表情を観察する。
そして、小首を傾けて「どうですか?」と聞く。僕が答えるのを待っている目が生き生きしている。
メリーポピンズのジュリーアンドリュースが、子供たちが何かおしゃべりするのを楽しみに待っている感じだ。
どんなことを言うのか、変わったこと、突拍子もないことを言い出すのを待っているような眼をしている。そしてきっと、顔を見合わせうふふと笑いあうのだろう。
僕を観察して感想を聞いて、少し調節するとまた立たせてみて、うん、よくなったね!と満足そうににっこりする。

僕が子どもの患者だったら、スキップして歯医者に通うんじゃないだろうか?
最新設備が揃っているがそれじゃなくて、親切なおばちゃんが楽しくお話を聞いてくれて、一緒に笑いながら歯も治してくれるという感じだ。
子どもの意見に従って治療するの。ここを足してとか、この歯はまだ抜かないでとか言うので、その通りにすると、その子にはそこが必要な時期だったということが分かるんですよ。

あるおばあさんに、どうですか?と聞いたら、それを決めるのがあんたでしょ。赤い紙を咬ませてそれで判断するのがあんたの仕事じゃないのと怒られました。そのおばあさんは、それっきり来なくなりましたと、楽しそうに笑って言う。
自分のスタイルを作り上げていることを、キッチリ自覚している。
診療室に絵や写真が飾られているが、患者さんが自分の作品を持ってきて飾って、定期的に変えていってくれるという。絵と写真は別の人らしい。
誰でも仲間に引き込み、ファンが多いことがうかがわれる。
このメリーポピンズのような包容力のある、余裕あふれるおばちゃんには、どの歯医者もかなわないだろう。


いわくま塾 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2017/11/15 00:00

いわごろう先生の不思議な治療

この前の日曜日に、いわごろう先生の診療室で治療していただいた。
つい最近建て直したばかりの、ピカピカの歯科医院。
最新のカボのCTとユニットが素敵だ。
そこで、とても不思議な治療をしていただいた。

この前の大会の僕の講演を聴いていただいた人は分かっていると思うが、僕の頭はかなり傾いている。
それは、僕の左上に入っているブリッジがスウィング干渉しているからだ。
次第に傾きが増してきた。掲げてある7年前の写真よりも傾いている。
姿勢も腰のところから横ずれした感じになって、そっくり却って、どんどん姿勢が悪くなってきている。
老化と運動不足のせいで体が硬くなってきたのでスウィング干渉が増してきているからだと言われている。
一月ほど前から右ひざも痛くなってきていた。

それらを治していただいた。
頭はばっちり真っ直ぐになって、膝の痛みもその場で取れた。
それは当たり前のことで、僕らはそんなことで感激したりはしない。うん、治ったねぐらいだ。
要するに、医者の不養生のようなもので、あまり症状がないのでつい疎かにしていたわけで、くまごろう先生からずいぶんと注意されていたのだけれど、いざとなったらすぐくまごろう先生にお願いできるという安易な考えでいただけなのだ。
ただ、その治療法がとても不思議だった。奇跡としか思えない。
全顎のスプリントを入れたのだが、バイトを採らず口の中で咬んで固めたわけでもないのに、咬合紙を一枚も使わずにピッタリ合ったのだ。
未だにどういう理屈なのかも解らないし、まだ治験が終わっていないのかどこにも発表していないようなので詳細の紹介は伏せておく。
ただ、素晴らしい画期的なオリジナルな治療法であることは間違いない。

そして、その治療を全面的に展開するシステムもすでに構想が出来ていて、そのために医院を新築したようだ。
おどろくべき全方位に調和のとれた能力だと思う。
あごろべえ先生やラッパの先生はたいへんな天才だけれども反面、経営などに関して少し欠けているところもある。
僕は、才能も経営能力もいちじるしく欠けていて、毎日過去を振り返って、現在を反省して、ため息をつく毎日だ。
いわごろう先生の満月のような円相の能力・人格を、こころから尊敬いたします。

いわくまコンビという。
くまごろう先生とはもう15年ほどの付き合いで、そのすごさは良く分かっているが、いわごろう先生とは5~6年前からで年に何回かしか会わないので、雲霧を通して見ていた感がある。
これから私が感じた独断で、このスーパーな女医さんコンビの研究や臨床のすばらしさや、この2人だけでなく仲間の女医さんの印象などから感じる、歯科医は女医に限るという僕の持論などをブログの読者に紹介していきたい。

いわくま塾 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2017/11/09 22:02
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