舌の痛みが遠のいて行って、口の中が涼しくなった

3年前に、道を歩いていて相談を受けたおばあさん。

舌がピリピリ痛くて、病院で軟膏を貰って1年塗っているのだけれど、良くならない。
口内炎でも歯医者で治せますか?

患者さんは、口内炎は内科に行くものだと思っている人が多い。
歯科は、歯だけ修理する所だと思っている。
1年も続く口内炎なんて?そのお医者さんも?
でも、歯医者に来ても、ステロイドの軟膏を出すだけだから同じだけど。
韓流ドラマ「チャングムの誓い」では、王様に口内炎が出来たと言って御典医たちが深刻な顔で相談していた。
中医学的にみると、心火が亢進している兆候なのか?脾臓に問題があるのか?と心配しているわけだ。
西洋医学では、口内炎はせいぜい1週間ぐらいで自然に収まるから、気休めに痛みが緩和する軟膏を出して一件落着。
やはり、口内炎がたびたび出る人は、中医師に診てもらうのが良いだろう。
体質や、生活習慣の問題が判るのではないか?

話がそれた。
もちろん、1年も口内炎なら、とんでもない病気の随伴症状だろう。道で相談不能。
いわゆる舌痛症。
入れ歯を入れてないでしょう?と聞くとすみませんという。
まず、入れ歯を入れないとだめですよ。

患者さんは、道で転んでむち打ちのようになって首と肩が痛くて半年ぐらい苦しんでいるうちに舌が痛くなってきたという。
ちゃんと、自分で関連に気が付いている。問題は首にあるのだ。

入れ歯を入れたら、当然だけれど肩こりは楽になって喜んだが、舌の痛みは取れない。
まあ、たぶんそうだろうと思っていたから、あごのズレを治す装置を入れた。
すぐに痛みが薄らいで、3カ月ほどで解消した。

このおばあさん、肩がこってきたとか、舌が少し変だとか言ってたまたま来院する。

今回も、だいぶ前から肩がこってきたけど、3日ほど前から舌がピリピリ痛くなってきたと言って来院した。
装置には問題なさそう。あごがやせて入れ歯が合わなくなったのだろうと思ってカルテを見たら、ほんの半年前にリベース(やせた分をピンクの床に足すこと)している。
あれ?変だね?
心臓が動悸を打って、具合が悪くて3〜4ヶ月で5kもやせたという。
運動で体を絞っても入れ歯は大丈夫だが、病気になるとてき面にあごはやせる。
適合検査剤を、入れ歯の下に安定剤のように入れたら、ひどかった左の肩と首の横のこりは取れた。
それで、リベースした。
肩こりは取れて、装置を入れたら、「舌の痛みが遠のいて行って、口の中が涼しくなった」という。
このように、ほんの少し合わなくなっただけで肩こりや腰痛など体に症状が出てくるが、入れ歯が合わなくなったという自覚は無い。
もっと合わなくなって、入れ歯が当たって歯肉に痛みが出てきたり、ゆるくなって初めて自覚が出てくる。
だから、入れ歯の管理を本人の申告に任せてはいけない。
定期診査して、肩や首を触診して維持管理しなければいけない。

でも、これは舌痛症ではない。きっと、そうなんでしょう。
舌痛症の定義が、歯科的に問題がないのに起きる舌の痛みならしいから、歯科治療で治ったならば違うようだ。
そういえば、舌の痛みを治しても、保険点数はあるのかな?考えてみたら、請求方法が分からない。

とにかく、入れ歯とのくらしは大変だ。
すぐそりが合わなくなる。それは、自分が変わっていくからなんだけれど・・・相手のせいじゃないのよ。
一度合わなくなると、男女のようにすぐ仲直りすることはない。
しかたなく仲直りするのは、歯医者に行って別な相手をあてがわれたけれど、よりひどい奴だったとき。
元の鞘に収まるというやつ。不満のかたまりだったのが、いいところもあったなんて思い出す。
また、もう歳なんだから、適当なところで我慢しなくちゃなんて考えたりして。
患者さんはすぐこんな考えに傾いて、歯医者に行く代わりに整形外科や脳神経外科に行って痛み止めをもらい、整体や鍼やマッサージに通っている。



まあ、これもエイプリルフールの続きの、うわの空の妄想?
堅苦しく考えないようにしよう。



入れ歯とのくらし | コメント(0) | トラックバック(0) | 2012/05/15 00:23

咬合空論と診査

2〜3週間総入れ歯を外して悪い癖が取れると、ぴったりのかみ合わせの入れ歯が出来る。

それじゃ〜そのしばらく総入れ歯を外した状態の何も入ってないあごの位置は理想的な良い位置にあるのだろうか?
きっとそうに違いない!筋の緊張が全て取れて、本来のあごの位置になるのだろう。

僕は以前、真面目にそう考えていた。
患者さんはこんなバカなことを考えたりはしないが、歯医者はつい考えてしまう。
このようなバカな考えを咬合空論という。
だって、何も調べてないものね。ただの妄想。

なぜバカかというと、その入れ歯を外した状態の患者さんは、背中が丸まって、肩が内転して、姿勢が悪く、肩と首がこっているからです。
姿勢が悪く体の具合が悪いんじゃ、正しい位置なんかじゃない。

このように断定するのは、100%全ての患者さんがそうなるからです。
入れ歯を入れると姿勢がよくなり肩こりが取れるかましになるが、外した瞬間にだめになる。
僕が調べてみてびっくりした、ものすごく単純な事実は、どこの本にも書いてないし誰かが発表したという事も無いようだ。
ちょっと肩や首を触ってみれば分かることが、なぜ今まで分からなかったのか?
それは、歯医者は肩や首を触診したことが無かったから。
逆に整体やカイロの先生は触診しているが、咬合を知らない。
整形の先生は、触診もしなければ咬合も知らない。画像を見ているだけだ。

コロンブスの卵。
この、肩と首の触診を教えてくれたのが、大阪大学名誉教授 丸山剛郎先生だ。
このコロンブスの卵の元 肩と首の触診が新しい歯科の分野を開拓する最初の一歩だったのかもしれない。

僕たちが教わった咬合理論も似たような空論がたくさんあったのじゃないか。いや、ほとんど空論じゃないか?
どんな咬合理論でも、ほんのかすかな形や接触一つで結果はひっくり返ってしまう。
大事なのは診査と検証なのだけれども、その診査法が咬合紙(赤い紙)と、ワックスやシリコンバイト、まれに顎関節や咀嚼筋の触診ぐらいしか無かったのだから。
最後に歯医者はなんと言うか?

どうですか?
ええ、先生何ともありません。ありがとうございました。
良かったですね。

これにて、一件落着。
要するに、患者さんに聞いてみるしかないのだ。何も調べて無いんだから。
ところが・・・

いえ、先生。すごく具合が悪いです。前よりひどいです!と言われたら?
さあ、どうしよう?
赤い紙でカチカチ。きれいに咬んでいる。
用いた咬合理論が間違いなのか?僕が下手なのか?
誰にもばれない、咬合空論。
診査法が無いから、みんな自分が下手だからだと思って黙ってしまう。いまさら聞けない・・・
ナソロジーが、何度基準を変えて生き残ってきたことか?
以前教えたのは誤りでした申し訳ありません。と謝った講師を見たこと無い。
ほんとは、講師だってよく分かってないのだ!
そこそこ上手く行く。
そんな程度だ。


顎口腔系以外どこも診査していなかった。
咀嚼するには、下顎だけじゃなく頭も動く。
だから、肩と首の筋で頭の運動を制御しなければ食べることが出来ない。
その筋を診査していなければ、基礎の無いタワーのようなものだ。

咬合と全身にはエビデンスが無いと言うが、元々咬合にエビデンスなど無かったように思う。
歯科の真骨頂は、指先の微妙な感触の世界なのであって、鍼灸や、整体の世界なのだと思う。
統計処理による有効性などとは無縁の職人芸、名人芸の世界だったのだ。

新しい診査法と、あごろべえ先生のその解析と病因論によって、やっと咬合の全体像が霧の中から現れてきた。

入れ歯とのくらし | コメント(0) | トラックバック(0) | 2012/05/11 00:00

hazelさんの疑い

GWが終わって、今日からよろよろと仕事。
いつもは張り切って仕事しているのに・・・
余暇とは言えないね。
1日前に帰ってきて、昨日はゆっくり休んで備えたのだけど・・・
患者さんごめんなさい。


治療を繰り返すと奥歯は低くなって噛み合わせが狂ってるのでは?と思います。

hazelさんは、良く分かってますね。
よほど気を付けてもこのようなことは起こる。
少しづつずれていく。赤い紙ではしっかり咬んでいても、ほんの少し低くなっている。
このようなことは、何となく感じていても診査法が無かった。
肩と首の触診をすれば、良く分かる。

仮歯が入っているとき。外したとき。出来た冠を入れたとき。冠の調整途中や、調整後。
肩と首を触診すれば、間違いが起こらない。
僕は、危なそうなときにはそのぐらい細かくチェックする。

つまり、こういうことだ。
歯には、すごいセンサーが付いている。
すき焼きを食べたら、豆腐と肉を一瞬で判断して噛み方をコントロールしている。
ご飯の中に髪の毛が1本入っていても分かる。
しかし、歯を治療することを前提にして体の知覚神経が出来ているわけではないから、低い場合はそのセンサーが感知出来ないから分からない。
歯のセンサーの役目は、自分(歯)を守ることだけなのだと思う。

歯は頭を支えている。

その頭の位置の調節をする筋肉を触診しなければ、頭のバランスを損ねたかどうかは分からない。
僕達や、くうにゃんや、hazelさんが問題とするかみ合わせというものは、頭のポジションのことなのだ。
頭のポジションの不安定が、病気の元。それは元であって、病気ではない。つまり、未病。
ここに思い至らないと、安心して治療することが出来ない。いつも不安でいっぱい。
なぜなら、口の中では、しっかり咬んでいる。それなのに、患者さんは具合が悪そうに見える。
心身症でしょう。ストレスでしょう。神経質な人なのでしょう。
なんか疑い深そうな人だ・・・職場や家庭に問題を抱えているのではないか?
こんな話題が出てくるような時は、大概そんな問題が起きている。
患者さんに、とても失礼なことだ。
しかし、歯科医学のエビデンスだけを金科玉条にしているのならば、そうとでも考えるしかない。

僕は、もし癌になったら治療しないつもりだと言った。
その時には気が変わるかも知れないけど、もうそれなりな齢になったから。闘病したくない。
こんな気持ちの人は、結構多いのじゃないか?
歯科ばかりでは無くて西洋医学全体が、テクノロジーは進んでいるが智慧のない状態にあるように思える。
それは、仕方がないのだろう。
目の前にいる患者さんをなんとかしなければいけない。
原因からアプローチする時間など無い。とりあえず・・・
その患者さんが治るか来なくなるか死ぬかすると、その問題は片付いて、次の患者さんの問題に対処しなければいけない。
医療というものは、そういうものだ。
目の前の患者さんの問題に責任を取らなくてはいけない。余裕が無いのだ。
そのようにして、数十年もの医者・歯医者人生が通り過ぎて行って、氷山のようなわだかまりが胸の中に残ることになる。
勉強が出来ると、周りはよってたかって医者にさせるけど、余計なおせっかいだよね。
お医者さんは気の毒だ。いい思いをするのは奥さんだけだと思う。
歯医者は少し楽だ。ありがたい。


GW。旅行に行って、重いカバンを肩に掛けて歩いていたら、少し腰が痛くなった。
ひどい症状じゃない。今はかすかなはりがあるぐらい。
もうひとつ。前歯の詰め物が取れた。(僕も子どもの時は歯医者じゃなかったから、むし歯で治療している。)
この二つは、関係があるかもしれない。
たぶん、歯の詰め物が取れたから腰が痛くなったのじゃない。
片方に重い荷物を下げて重心バランスを取りつづけた。その、歪みエネルギーが、腰と歯に作用したようだ。


エビデンス | コメント(1) | トラックバック(0) | 2012/05/07 00:00

入れ歯のかみ合わせが合わないわけ

同じように総入れ歯が無くても、紛失したのと入れたことが無いのでは全く異なる。
いきなり総入れ歯を入れたときに全く食べることが出来ない理由は分かった。
では、紛失してしばらく歯無しでいる状態で入れ歯を作るとなぜ咬み合わせがピッタリになるのか?

僕は大学のとき弓道部だった。
夏休みになると1週間ほど合宿して、朝から晩まで練習する。
さぞ上手くなるかと思えば、なんかだんだん的に当たらなくなる。
練習しているうちに、迷いが出てきたり,変な癖を取ろうとしてかえって悪くなる。
合宿が終わる頃は、たいがい前より悪くなる。
ところが、夏休みが終わって久しぶりに弓を握ると、当たるの何の。
迷いや変な癖がしばらく休んでいるうちに取れるのだろう。やはり、練習は無駄ではなかった。

かみ合わせもそうではないか?
人は食べなければいけないから、とにかく咬めるところで咬む。
理想的な歯列なら満遍なく咬むことが出来るが、少し歯並びが乱れていたり、むし歯で欠けていたり、抜けていたり、入れ歯の下の顎がやせてきて合わなくなったりしていたら、咬みやすいところで咬むので、変な癖がついてしまう。
そして、だんだんずれていって更に歯が悪くなるし、体をゆがめることになる。

スポーツのトレーニングと一緒で、少し休んでみると変な癖が全部取れるのだ。
でも、もともとトレーニングをしたことがない初心者や、ずーっとサボっていたら逆に不合理な癖だらけでまったく使用不能だ。
ちょうど、入れ歯を失くしておかゆをすすりながら2〜3週間我慢するのが一番すぐれた方法なように思う。
でも、患者さんに2〜3週間入れ歯を外したままにしてくださいとは言えないし、言ってもやらないだろう。
馬鹿か?と思われるだけだね。
だから、最近は古い入れ歯を直したり、治療用の入れ歯を先に作ったりすることが推奨されている。
あれは、悪い癖を取るためだ。でも、その仮の入れ歯でもやはり変な癖が付くから、失くした人のほうがぴったりだ。


今月のカレンダーは、往ったり来たり。

僕は、腕はともかく、入れ歯と体の症状の関係はだいたい分かったように思っている。
でも、ここまで来るには、往ったり来たり。
来月からは、その往ったり来たりの失敗談と、考察を話そう。

入れ歯とのくらし | コメント(0) | トラックバック(0) | 2012/04/28 00:00

hazelさんの嘆き

hazelさん

いつも、貴重な観察と情報をくださり、とても感謝しています。

hazelさんが嘆くとおりです。患者さんはそんなもんです。
目の前のことしか見えない。素人だから、当然です。仕方が無い。

そのお友達は、奥歯が少しぐらい無くても、見た目と食べることには支障が無いから、気にしてないのです。
ラッパの先生の研究によれば、奥歯は上下1本ずつ咬み合っていれば、食べることにはそれほど困らないそうです。
だから、歯医者がいくら入れ歯が必要だと注意しても、馬耳東風。

問題は医者・歯医者の方にある。
素人とさほど違わないのかもしれない。
歯医者は口の中しか見ていない。
歯医者が、いくら咬みあわせが悪くなると注意しても、体の症状とのかかわりが不明じゃ説得力無し。
医者は歯のことなんか考えたことも無い。
循環器科、消化器科、泌尿器科。その他、科に分かれていて、他の科のことはよく分からない。
そのつながりなんて、あまり考えていない。
かみ合わせのことなんて、医者も患者さんもほとんど変わらないレベルの素人なんです。

かく言う私も、この前京都で聞いてきたセミナーの あいうべ体操 の講演を聞いてショックを受けた。
講師はお医者さん。口の体操を患者さんに指導して、アトピー、鼻炎、花粉症ばかりか、リュウマチ、膠原病、潰瘍性大腸炎などの難治性の疾患を治しているという。

hazelさんも、 あいうべ で検索して、そのお医者さんの本を買って読んでみてください。
そして、その体操を日課にすることをお勧めします。hazelさんなら知ってるかな?
以前に報告してくれた、ポカン口の同僚も救ってあげてください。

多くの患者さんは、体は修理すれば済む部品だと考えています。
特に医科ではない、歯科の分野の歯に関しては、それが常識になっています。
頭や、内臓は命に直結している部品だけれども、歯が少しぐらい無くても大したことは無い。
これはとんでもない思い違いで、日の出の先生が最近ブログに書いていたように、歯はむき出しの触れる骨格なのです。
腰が痛い人が、椎間板ヘルニアだとか、すべり症だとか、深刻そうな顔をしていますが、そんなレベルではないのです。
歯が抜けていると言うことは、椎体が1個抜けているようなものです。

全ての病気には原因があるはずですけど、病院に行って治療を受けても、慢性疾患の真の原因まで治るとは思えない。
基礎の骨格を歪ませないことが、重要だと思います。
常に歯医者で診査してもらい、メンテナンスする。それでも足りないところは、ストレッチや、整体や、鍼灸で整える。
それに加えて、口呼吸を止めて鼻呼吸にすること。(口呼吸が良くないことは常識だけど、その悪さの程度が違っていたみたい。それを、あいうべセミナーで教わった。)
全て、歯医者の領域。
いよいよダメなときに、病院に行く。
これが、患者さんが健康を維持する秘訣だと思います。
今は、逆さまになっている。
些細な症状で、大病院に行く。そこは、忙しくてそんな小さな問題にかまっている時間など無い。
とりあえず、患者さんを納得させて返さなくてはいけないから、なんか薬を出す。
すると、副作用でより具合が悪くなる。そのようにして、負のスパイラルに入ることが少なからずあるように思います。

早期発見、早期治療。
この標語の意味を、取り違えています。
早期に病気を発見しても、原因にアプローチしない治療なら、副作用や後遺症を残します。
原因を取り除かなくてはいけません。
がんを取り除いても、がんになった原因は取り除けません。 


雑感 | コメント(2) | トラックバック(0) | 2012/04/25 00:00
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